logo_mini


一般個人のみなさまへ

お金(経済環境)は切り離せない

 自分の希望・条件を出すことがまず先決ながら、人生設計に欠かせないのが「お金」であり、経済環境です。あまり若い方が遠い老後を考えるのは、そのとき社会がどうなっているか予測できないので細かく検討する必要はないと思いますが、そろそろ老後が気になる年代は、とりあえずは「今の環境」をベースに考えてみることです。次の3点がポイントです

 ・100歳マイナス今の年齢=とりあえずの設計期間
 ・リタイア後の年間の収入と支出の差の試算
 ・リタイア時の預貯金等切り崩し可能な資産

 「何歳まで生きるか?」はお医者さんに聞いても教えてくれませんし、誰にもわかりません。「余命数ヶ月」の人がその後何十年も生存し続けるケースもありますし、病気知らずのハツラツな人がポックリ逝くこともあります。わからないながら、普通なら…を想定しておくといいのですが、「普通」もわからない。平均寿命はいけません。平均余命もリスクが高い。推奨は100歳まで生存を仮定することです。いえ、もっと先、105歳でも結構です。もうリタイア後は、短命リスクではなく長命リスクが課題になるのです。

 老後設計も仕事を続ける・続けないで大きく異なります。ざっくりと、リタイア後を目安に設計してみます。ようは収入が少なくなる時期(おそらく年金がほとんど)です。そのためには、やはり「家計簿」をつけることを強くお勧めします。家計簿で毎月のおおよその支出と年に1度の支出もあるので、1年間の合計で考えたほうがよいでしょう。リタイアすると不要なお金、逆に増えそうなお金もあるので、ある程度勘案してシミュレーションします。そして頼みの綱の収入(年金)は、「ねんきん定期便」である程度金額がわかります。しかし、その金額は「よくてもらえる金額」ですので、実際にはそれより減額の可能性が大きいと思っておいたほうがよいでしょう。

 では、生存期間の収支を考えてみると100歳(あるいは105歳)のときにいくら残っているでしょうか。マイナスなのかプラスなのか。マイナスであれば、少なくともリタイア時にそれを補える預貯金がないといけません。まだ現役世代の人は、できるだけリタイアまでにその金額+αぐらいを準備しておきたいものです。

 もうひとつ大切なことは、支出で今は不要でも老後期に必要になる介護の費用です。医療費は高額療養費で一定金額以上戻ることがありますが、介護の場合、公的介護保険利用分(限度額)を超えると全額自己負担で戻りません。介護保険が将来あまり使えなくなると想定した場合、「全額自己負担」となる介護の費用を予定しておいたほうが、老後の快適度が異なると考えられます。いくら用意したらいいのか?こればっかりは何ともいえませんが、平均寿命―健康寿命が男性9年~女性13年ほどなので、一般的には10年間介護の費用をおいといてください、とセミナーではお伝えしています。仮に月3万円としたら1年で36万円。10年だと360万円です。これだけあればいいという問題ではなく、どれくらいのサービス充実を望むかにより異なりますので、自分にあった内容で試算を。

 他にも住宅住替え、リフォーム、介護までいかずとも利用したいサービスなど、若いときには考えなかった支出が高齢期には出てきます。この先経済が良くなっていっても、高齢者の生活にあまり恩恵はありません。貯めすぎて使えず死んでしまった…となると無念ですが、もうちょっとお金の余裕ガあれば…と思うのも辛いものです。この加減は個人差がありますので、自分の生活状況や性格(これが結構重要)とあわせて、シミュレーションしてみてほしいと思います。


次頁へ